マンションのフルリノベーション事例|築36年・約61㎡を二人暮らしの住まいへ
築年数が経ったマンションはどこまで変えられるのでしょうか。
約60㎡の住まいをこれからの暮らしに合わせてどう組み直せるのでしょうか。
費用はどのくらいかかり、何にお金をかけるべきなのでしょうか。
マンションのフルリノベーションを考え始めると、このような疑問が次々に出てきます。
施工事例の写真を見ても「きれいになった」ことはわかりますが、「なぜその間取りにしたのか」「なぜその金額になったのか」までは見えにくいものです。
この記事では、大谷工務店が東京都内で設計・デザイン・施工を行った、築36年・約61.5㎡のマンションのフルリノベーション実例を紹介します。
今回の住まいづくりで大切にしたのは、家を豪華にすることではありません。
「二人でこれから長く快適に暮らす」という暮らし方を想定し、間取り、収納、設備、コンセント、空調、窓まで、住まい全体を組み直しました。
完成した空間だけでなく、その裏にある考え方も含めてお伝えします。
ご自身の住まいを考えるときのヒントとしてご覧ください。
築36年・約61㎡マンションのフルリノベ概要
まずは、今回の実例の基本情報です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 建物 | マンション |
| 築年数 | 築36年 |
| 専有面積 | 約61.5㎡ |
| 施工期間 | 約90日 |
| 総工事費 | 2,250万円 |
| 想定した暮らし | 二人暮らし |
| 担当範囲 | 設計・デザイン・施工(大谷工務店) |
今回の2,250万円は、約60㎡のマンションをフルリノベーションする場合の「標準価格」や「相場」ではありません。
この金額は、今回の物件で行った大規模な間取り変更、浴室の拡張、水回り設備の一新、全窓への内窓設置などを含めた、この工事内容・この設備仕様での実例です。
工事範囲、間取り変更の有無、設備のグレードなどによって、フルリノベーションの費用は大きく変わります。
費用の考え方については、記事の後半で詳しく説明します。
施工前と施工後の間取りを比べると、住まい全体がどのように組み直されたかがわかります。








フルリノベで間取りはどう変わった?
ここからは、施工前の状態、何を変えたのか、なぜ変えたのか、そして暮らしがどう変わるのかを、場所ごとに見ていきます。


和室をなくして開放的なLDKへ
施工前はLDと和室が分かれた間取りでした。
LDと和室はそれぞれ独立した空間になっており、LD側からの視線も和室との間で区切られていました。
今回は和室を撤去し、LDKとして一体的に使える空間へ変更しました。
元の和室側にあった天井の隔たりもなくなったことで、空間の高さとつながりを感じやすくなっています。
さらに、広くなったLDKにはシーリングファンライトを設置しました。
シーリングファンで室内の空気を循環させやすくし、広いLDKで過ごしやすい空間を目指しています。
和室を取り込んだのは、単に面積を広く見せるためではありません。
「視線が抜けること」「空間がつながること」「空気が巡ること」まで含めて、ひとつの居場所として使いやすくするための変更です。








キッチンからリビングまで見渡せる間取りへ
キッチンはアイランド型へ変更しました。
アイランドキッチンというと、見た目のおしゃれさを目的に選ばれるイメージがあるかもしれません。
しかし今回の配置は、次のような暮らし方を考えたものです。
- 料理をしながらLDK全体を見渡せる
- 二人でキッチンに立っても動きやすい
- 作業中もリビング側の景色を楽しめる
この物件の大きな魅力は、リビング側に広がる開けた眺望でした。
リノベーションで新しい価値をつくるだけでなく、もともと物件が持っていた「景色」という価値を、料理や食事といった日常の時間の中で楽しめるようにすること。
それもフルリノベーションの設計で大切にしたことのひとつです。
眺望を活かしながら窓の断熱性も考えた
リビング側には大きな窓があります。
ここから見える景色はこの住まいの魅力ですが、一方で大きな窓は外気の影響を受けやすい部分でもあります。
そこで今回は、住戸内の窓すべてにLIXILの内窓「インプラス」を設置しました。
景観を損なわず眺望を楽しみながら快適に過ごすために、間取りだけでなく窓まわりの断熱対策まで考えたということです。
なお内窓による体感の変化は、建物の条件や窓の向き、住まい方などによって異なります。
またマンションの窓(サッシ)は一般的に共用部分にあたるため、住戸側で自由に交換できないケースが多くあります。
室内側に設置する内窓は、そうした条件の中でも窓まわりの環境を見直すための選択肢のひとつです。


分散していた収納をWIC・SICへ
施工前は収納が住まいの各所に分かれていました。
収納が点在していると、「どこに何をしまったか」がわかりにくくなり、結果として物が出しっぱなしになりがちです。
施工後は、ウォークインクローゼット(WIC)やシューズインクローク(SIC)などへ収納を整理しました。
目的は、単純に収納量を増やすことではありません。
- 物を置く場所をわかりやすくする
- 片付けやすくする
- 帰宅してから着替える、出かける前に準備するといった生活動線に合わせる
収納を「量」ではなく「使い方」から考えることで、暮らしの中で片付けが続けやすい住まいを目指しています。




納戸を快適に使える寝室へ
施工前は納戸だった空間です。
この空間は、そのままではエアコンを設置しにくい条件がありました。
今回のリノベーションでは、エアコンの設置まで考えて配管を計画し、日常的に寝室として使いやすい空間へ変更しています。
間取り図の上で「納戸」を「洋室」に書き換えるだけなら簡単です。
しかし、夏や冬に快適に眠れなければ実際には寝室として使いにくいままです。
部屋の名前ではなく、そこで本当に快適に過ごせるかどうか。
設備の条件まで含めて考えることが、フルリノベーションならではの設計だと考えています。


ワークスペースをつくる
旧押入れ部分などを活かし、在宅ワークにも使えるスペースを設けました。
仕事や趣味、家計の管理など、自宅で机に向かう場面を想定し、専用のワークスペースを設けています。
専用の個室を設けるほどではなくても、集中できる場所がひとつあるとダイニングテーブルを片付けながら作業する手間も減ります。
ワークスペースでは、パソコンや照明、充電機器など、電気を使う機器が集まります。
そのため、この場所はコンセント計画とセットで考えました。
詳しくは後ほど「コンセントは家具・家電・仕事まで考えて配置」で紹介します。


浴室を1216から1616へ
今回の大きな変更点のひとつが浴室です。
既存の1216サイズ(約1.2m×1.6m)の浴室を、1616サイズ(約1.6m×1.6m)へ拡張しました。
単なるユニットバスの交換ではなく、浴室という空間そのものを広げた実例です。
「マンションだから、浴室の広さは変えられない」と思われている方も多いかもしれません。
実際には、建物の条件や管理規約などを確認したうえで、変更できる場合もあります。
ただし、どのマンションでも浴室を拡張できるわけではありません。
配管や構造、周囲の間取りなど、住戸ごとの条件によって可能かどうかが決まります。
検討する場合は、現地調査の段階で確認することが大切です。








二人暮らしを想定して大切にしたこと
ここからは、施工内容の説明ではなく、「どんなことを考えて住まいをつくったのか」をお伝えします。
今回の設計では二人でこれから長く暮らすことを想定し、完成した瞬間よりも、住み始めてからの毎日を基準に考えました。


毎日の家事を少しでもラクにする
今回の設備選びは、高価格の商品を入れること自体が目的ではありません。
料理、片付け、掃除、入浴など、毎日繰り返す家事や生活動作を少しでもラクにすることを重視しました。
たとえばキッチンでは、足元で水栓のON/OFFができる機能を採用しています。
お肉や魚を触って手が汚れているとき、鍋やボウルで両手がふさがっているときでも、足元で水を出し止めできます。
ひとつひとつは小さなことですが、キッチンに立つたびに繰り返される動作です。
毎日の小さな負担を減らす積み重ねが、長く暮らすうえでの快適さにつながると考えています。
もちろん、機能が多ければ良いというわけではありません。
大切なのは、その機能が自分たちの暮らしの中で本当に使われるかどうかです。
コンセントは家具・家電・仕事まで考えて配置
今回、特に大切にしたポイントのひとつがコンセント計画です。
LDK、キッチン、ワークスペースなど、実際に電気を使う場所を想定して、コンセントを各所に配置しています。
リノベーションでは、壁や間取り、内装の色などに意識が向きがちです。
しかし、住み始めてから「ここにコンセントがあれば」と感じることは少なくありません。
完成後に延長コードやたこ足配線に頼りすぎる状態は、見た目がすっきりしないだけでなく掃除のしにくさにもつながります。
特に次の場所は電気を使う機会が多いため、計画段階で具体的に考えておくことをおすすめします。
- キッチン:調理家電を同時に使う場面や、家電を置く位置
- ワークスペース:パソコン、モニター、照明、スマートフォンの充電など
- テレビ周辺:テレビ本体のほか、周辺機器やネット機器
- LDK全体:掃除機の使用、季節家電、ソファまわりでの充電
ポイントは、家具や家電を置いた後の状態をイメージすることです。
「どこにソファを置くか」「どこで仕事をするか」が決まると、必要なコンセントの位置も見えてきます。


空調まで含めて部屋の使い方を考える
今回の物件では、次のように「部屋をつくる」だけでなく、そこで実際に快適に過ごせることまで考えています。
- LDKにシーリングファンを設置し、空気を循環させやすくする
- 元納戸の寝室は、エアコン設置を見据えて配管を計画する
- 住戸内のすべての窓に内窓を設置する
これらは、完成写真ではあまり目立たない部分です。
間取り図にも表れにくく、見学時にも気づかれにくいかもしれません。
しかし夏の暑さや冬の寒さ、部屋ごとの温度差は、毎日の過ごしやすさを大きく左右します。
こうした部分をまとめて見直せることも、住まい全体を対象にするフルリノベーションの利点です。
毎日使う浴室だからこそ快適性を重視
浴室は、一日の疲れを取る大切な場所です。
そのため今回の住まいづくりで、特にこだわった場所のひとつになりました。
浴室には、TOTOの「マンションシンラ」1616を採用しています。
肩や腰まわりをケアしながら入浴できる「肩楽湯・腰楽湯」、時間帯や気分に合わせて明かりを調整できる調光調色、清掃の負担を減らす機能など、日々のくつろぎと家事負担の両方を考えた仕様です。
ここに予算を使った理由は、「毎日必ず使う場所」だからです。
空間を1616へ広げたことと合わせて、一日の終わりに体を休める時間を大切にできる浴室を目指しました。


なぜ今回のフルリノベは2,250万円になった?
フルリノベーションを検討している方にとって、費用は最も気になるポイントのひとつです。
ただし、今回の金額だけを見て「60㎡なら2,250万円かかる」と受け取るのは適切ではありません。
ここでは、今回の費用がどのような内容から成り立っているのかを説明します。


間取りから水回りまで住まい全体を改修
今回の工事は、表面の内装を張り替えるだけのリフォームではなく、住戸全体を対象としたフルリノベーションです。
主な工事範囲は次のとおりです。
- 和室を取り込む大きな間取り変更とLDKの再構成
- アイランドキッチンへの変更
- 収納の再構成(WIC・SICなど)
- 納戸の寝室化
- ワークスペースの新設
- 浴室の拡張(1216→1616)
- 水回り設備の一新
- 全窓への内窓設置
- 空調・照明計画
- コンセント計画
- 造作
このように、間取り、水回り、設備、窓まわり、電気計画まで、住まいのほぼすべてに手を入れています。
工事範囲が大きかったことが、今回の費用の大きな要因です。
長く使うことを考えて設備を選んだ
今回の設備選びでは「数年後にまた大きな改修をする」ことを前提にするのではなく、20年以上先の暮らしまで見据えて、2026年時点で機能性の高い設備を選ぶという考え方がありました。
二人で長く暮らしていく中で、長く快適に使えること、日々の家事の負担を減らせることを重視しています。
ただし設備には使い方やメンテナンスによる差があり、どれだけ長く使えるかを約束できるものではありません。
あくまで「長く快適に使うことを考えた設備選び」という設計の考え方として捉えてください。
今回採用した主な設備
どの設備も「高いから選んだ」のではなく、「今回想定した暮らしの中で、何をラクにしたいか」から選んでいます。
2,250万円はフルリノベの標準価格ではない
改めてお伝えします。
今回の2,250万円は、この物件・この工事内容・この設備仕様での実例です。
工事範囲を絞る、間取り変更を最小限にする、設備のグレードを調整するなど、条件が変われば費用も変わります。
大谷工務店では複数メーカーの商品を扱っているため、今回と同じグレードをすべてのお客様におすすめするわけではありません。
予算を抑えたい場合には、設備や仕様を調整しながら計画することも可能です。
設備は「高いもの」ではなく暮らしに合うものを選ぶ
フルリノベーションでは、キッチンや浴室などの設備が予算の中で大きな割合を占めることがあります。
だからこそ、どの設備を選ぶかは慎重に考えたいところです。
予算に合わせて設備を選べる
大谷工務店では、複数メーカーの設備を取り扱っています。
今回採用した設備が、すべてのお客様にとって最適とは限りません。
設備選びは、次のような条件によって変わります。
- 予算
- 家族構成
- 暮らし方
- 何をラクにしたいか
- どこにお金をかけたいか
たとえば、料理をよくするご家庭ならキッチンに、入浴時間を大切にしたい方なら浴室に予算を配分する、といった考え方ができます。
必要な機能を一緒に整理する
「せっかくのフルリノベだから、全部良いものにしたい」と考える方もいらっしゃいます。
その気持ちも自然なものですが、すべてを高いグレードにすると予算が膨らみやすくなります。
おすすめしたいのは機能を次のように整理することです。
- 絶対に欲しい機能:今の暮らしで不便を感じていること、毎日使うもの
- あれば便利な機能:予算に余裕があれば取り入れたいもの
- なくても困らない機能:魅力的でも、自分たちの暮らしでは使う機会が少ないもの
このように優先順位をつけることで、限られた予算を本当に効果を感じられる場所へ配分しやすくなります。
必要に応じてショールームにも同行
カタログや写真だけでは使い勝手やサイズ感をイメージしにくいこともあります。
大谷工務店では設備選びの際に必要であればお客様と一緒にショールームへ行き、実物を確認しながら考えることもあります。
実際に触れてみて「この機能は必要だった」「思ったほど使わなさそう」と感じることも、設備選びの大切な判断材料になります。
マンションのフルリノベ前に確認したいこと
今回の実例のように住まい全体を組み直せるかどうかは住戸ごとの条件によって変わります。
検討の前に次のポイントを押さえておきましょう。


間取り変更できる範囲
マンションの構造などによって、間取りを変更できる範囲は異なります。
今回は和室を取り込んでLDKを広げましたが、撤去できる壁とできない壁があるためどこまで変えられるかは住戸ごとの確認が必要です。
水回りを動かせる範囲
キッチンや浴室などの水回りは、配管や構造などの条件によって変更の自由度が変わります。
今回は浴室を1216から1616へ広げましたが、同じことがどの住戸でもできるわけではありません。
管理規約と共用部分
窓(サッシ)、玄関ドア、構造部などは一般的に共用部分として扱われ、専有部分だけの判断では自由に変更できません。
今回窓の交換ではなく室内側に内窓を設置したのも、こうした条件の中で窓まわりを見直す方法のひとつです。
実際の工事前には管理規約等の確認が必要です。
コンセント・空調・窓も早めに考える
今回の実例で大切にした、家具の配置、コンセント、エアコン、窓断熱、照明は、完成写真では目立ちにくい部分です。
しかし住み心地を大きく左右し後から変えると手間や費用がかかることもあるため、設計段階で考えておくことをおすすめします。
予算をかける場所の優先順位を決める
フルリノベーションは、すべてを高いものにする必要はありません。
今回は「毎日使い、一日の疲れを取る場所」として浴室に予算をかけました。
毎日使う場所、改善したいこと、こだわりたい場所を整理して、予算を配分することが大切です。
東京都でマンションのフルリノベーションを検討している方へ
フルリノベーションは高い設備をたくさん入れることが目的ではありません。
これからの暮らしに合わせて、住まい全体を組み直すことです。
今回の実例では、「二人でこれから長く快適に暮らす」という暮らし方を想定し、開けた眺望を楽しめる間取り、片付けやすい収納、家事をラクにする設備、使いやすいコンセント、快適に使える寝室、一日の疲れを取れる浴室を、住まい全体として組み直しました。
これからフルリノベーションを考えるなら、まずは次のようなことを整理してみてください。
- これから誰と暮らすのか
- 住まいでどんな時間を過ごしたいのか
- 今の暮らしで何が不便なのか
- 何をラクにしたいのか
- どこには予算をかけたいのか
- どこなら費用を抑えられるのか
答えは住む人によって違います。
今回の実例と同じ間取りや設備がそのまま最適とは限りません。
大谷工務店では、設計・デザイン・施工までまとめてご相談いただけます。
設備についても、複数メーカーの中から予算や必要な機能を一緒に整理し、必要に応じてショールームへ同行して、実物を確認しながら選ぶことができます。
「今のマンションでどこまで変えられるのか知りたい」「予算内で何を優先すべきか相談したい」「まだ具体的には決まっていないけれど、話を聞いてみたい」
――そのような段階でも構いません。
今回と同じ家をつくるのではなく、「自分たちの場合は、どんなリノベーションが合うのか」を一緒に考えるところから始めましょう。
マンションのフルリノベーションに関するご相談は、大谷工務店までお気軽にお問い合わせください。







